宝筐院からさらに北へと進みます。ここ嵯峨で最も北に位置するといわれる竹林に囲まれたひっそりと佇む静かなお寺が、直指庵です。
竹林にもみじ…自然に囲まれた静かな境内をひとりじめ?!
大覚寺よりさらに北に上がって行き、「この道でいいのかな…?」とちょっと不安にもなりそうな細い参道を進むと、奥に竹林が続く山門にたどり着きます。
ひっそりと、人が少ない境内は、まるで手つかずの自然をそのまま残しているような癒される空間です。この日の爽やかな青もみじは、秋になるとまた素晴らしい紅葉の景色を見せてくれそう!
ひとりだからこそ。じっくり想いをしたためる
山門から少し進むと葦葺きの小さな本堂があります。
ご本尊「阿弥陀如来」に、学力向上を願う知恵の「文殊菩薩」、あらゆる願いをかける「願掛け地蔵」が本堂にまつられています。
ところで、ここ直指庵は、臨済禅を学んだ僧侶が南禅寺栖雲庵から江戸前期の1646年(正保3年)に北嵯峨細谷に草庵を結んだのが始まりと云われ、その際は「没蹤庵(ぼつしょうあん)」と呼ばれていました。そしてその僧侶が枯れ松の枝が地に落ちるのを見て悟り「直指人心」(じきしじんしん…教説や修行などの他のものにとらわれず座禅によって直ちに自分の心を見つめ、心中に仏の本性が備わっていることを悟ること、を意味する仏語。)の旨を守ってここを「直指庵」と号したそうです。
その云われを今も守り続けるかのように、本堂の中にはこんなノートがあります。
「想い出草」というこのノートは、参拝者が願掛けや想い、私生活の悩みやここを訪れた感動などを自由に綴るもので、現在、保存されているノートは5000冊以上にものぼるそう。ぱらぱらっとノートをめくっただけでもたくさんの人の様々な想いがぎっしりとつまっていました。座禅を組み悟りを開く、とまではいかなくとも、この静かな境内で想いを字に起こすということは、自身とじっくり向き合うのに最適な時間で、まさにひとりでゆっくり訪れるからこそできることかもしれません。
想い出草ノートを守る観音像
本堂から再び外へ出ると、境内のさらに奥にノートを持った「思い出草観音像」が立っています。
想いで草ノートに綴られた様々な苦しみや悲しみを取り除き、願いや祈りをくみ取って福楽を与えてくださる観音さまです。それと同時に、その後の成長も守ってくださるんだとか。とても穏やかで優しい表情をした観音さまでした。
なんだか愛らしいお地蔵さまたち…
境内では、観音像の他に2体の可愛らしいお地蔵さまも見つけたのでここで少しご紹介!
ずーっと仲良くいていられそうな「愛逢い地蔵尊」。その表情からもご利益がありそうです(^ω^)
「水子地蔵尊」という、子供の健康と成長を守って下さるお地蔵さまです。近年では、お参りする夫婦が子供を授かることから「子授け地蔵」とも呼ばれているそう。お地蔵さまの足元の小さな子供がかわいくて、こちらも思わずパシャリ。
最高の“ひとり時間”を過ごす
誰にも邪魔されずにひとり物思いに耽る時間は、意外と貴重なものかもしれません。ここ直指庵は、どんな人でも受け入れてくれるような寛大な自然の景色と空間があります。誰かと一緒に行くことももちろんですが、ちょっと考え事をしたい時、ゆっくり過ごしたい時などにまた立ち寄りたくなるような、ひとり時間にはもってこいな場所でした!
おひとりさま京都旅・桂川~嵯峨嵐山編、次回で最終回です♪